俺らがまだまだ子どもだったころ。俺はお前に聞いたんだ。
−−−お前にとって、一番辛くて苦しくて嫌なことってなんだ?
向日葵に囲まれ埋もれながら。
俺の目をまっすぐ見つめ。
−−−俺から太陽が消えちゃうことさ。

お前はあのとき確かにそう言ったんだ。



Invisible Sun



その日のターゲットは難なく手に入れられた。
多少手こずった箇所もあるが、簡単な部類に入るだろう。


誤算だったのは、ネズミ一族が絡んでいたことだった。







「ルパンっ…!!」
声をかけられるとともに俺は次元によって突き飛ばされていた。
何事か瞬時に判断するよりも先に俺のほうを銃弾がかすめていく。
「う”あっ……!?」
すぐに銃声が響き、確かに肉が裂ける音がした。
「−−−−っ次元!!?」
言葉を発するも、返ってきたのはガラス瓶が割れる音。
続いて何か液体がぶちまけられる音。
床には黒い染みが出来ていた。

「ルパン!次元!早く乗れ!!そろそろ追っ手が来るぞ!!!」
五右ェ門と不二子が車を回してきて、窓の下から叫んでいる。
その声に反応した俺は、次元の肩を腕で抱えてそのまま窓の外へとをダイブした。
窓を突き破り飛び出る瞬間、後ろをちらりと見やる。



そのとき確かに。
暗闇の中誰かが笑うのを、見た。







「う”ぇ−−、何だよこれ……」
ぺぺっと口から液体を吐き出しながら次元は顔を顰めている。
さっきの、割れてしまったガラス瓶の中身のようだ。
「苦し紛れか何かしらんが、まともにくらっちまったぜ」
「ただの水にしか見えないな……」
次元の目元の液体を指でぬぐい取って、五右ェ門がじっと観察している。
「多少ぬめっているが…、次元これを飲んだか?」
「飲むわきゃねーだろ、敵さんに投げられた怪しげなものなんか。ま、口にもはいっちまったがな。すっげ苦ぇんだよ」
そんな後ろの様子をバックミラ−で眺めながら運転している不二子に声をかける。
「悪ィ不二子。今日はあのアジトじゃなくて、少し遠くなっちまうが川を挟んだ向こうのアジトの方へ行ってくれるか」
「ええ、そのつもりよルパン」
その言葉にふと気づけば、確かにそのル−トを通っている。
そのことに気がつかないとはだいぶ混乱しているようだ。
甘い香水が、鼻をくすぐった。



「他に何処かおかしなところはないのか」
「ん−−、別にねぇなぁ…。……そうだな、ちょっと多く涙が出るくらいか?」
「やはり何か害があるのか?これだけでは何もわからんな………」
次元を心底心配していることが声で分かる。
そう言えば五右ェ門は、以前スト−ンマンってやつが次元に決闘を申し込んできたときもどうにかしてやめさせようとしていた。
自分がそうされれば怒るだろうに。

どうしてだろうか。
人のことを気にかけている五右ェ門を見るのは喜ばしい。
自分の殻に閉じこもってない証拠だから。

だけど。

次元へのこの気にかけようはどうだろうか。


(…ま、別にい−んだけどさ。)
確かにこの二人は仲がよい。(特に気が乗らない仕事の時の結束力はすばらしい。こんちくしょう。なんだかんだいってもやらせることのが多いけど。)
最初、五右衛門を仲間にしたとき不安がなかったと言えば嘘だ。
何しろ二人ともとことん癖のあるやつだ。(俺が言うのも何だけど。)
多少の衝突は仕方がないと考えていた。

しかし、そんなことは杞憂だった。

いや。確かに嬉し−んだよ。
俺の信頼している二人が信頼し合うのは。
けどさ。
な−んかさ。
ちょっといまはなんか変。
だ−い好きな不二子ちゃんが隣りにいるのによ。
全然集中できてねぇ。


それもあれもどれもこれも。
あいつが余計なことをしたからだ。


「ち−っくしょうっ!!!」


車がゆらりと横に揺れた。
「ちょっとルパン!いきなり大声出さないでよ、驚いたじゃない」
ごめんな不二子ちゃん。もっともだ。
「どうしたルパン。何があったんだ」
悪ィな五右ェ門。余計な心配させて。
「なんだルパン。おおかた疳の虫が泣いたってか?」
うっせぇ。てめぇのせいだこの野郎。

それぞれの言葉に心の中で返事を返して目を閉じる。

「わりかし上手くいったってのに何不機嫌になってやがるんだ?」
まぁラストちょっとばかしどじったけどな。
笑い飛ばして何でもないように振る舞う次元に腹が立つ。
何が「ちょっと」、だ?
「次元、一応目を休ましておいた方がいい。水にしか見えないというだけで判断はしかねる」
お、さ−すが五右ェ門。いいこと言うじゃん。
「お−−、五右衛門の手ぇ冷たくて気持ちい−……」
その言葉にぱっと目を開き、後ろの様子をバックミラーで確認する。
なるほど。口で言っても簡単には聞かない次元だ。五右ェ門のとった行動は最良である。
けれど次元はスキンシップが嫌いである。
誰かに抱きつかれたり、むやみに触られることを好まない。
なので、いまの状態はとても珍しい。
五右ェ門が自分の右手で次元の両目を軽く押さえて閉ざしている。
いつもの次元なら多少ながらも嫌がる顔を見せて、その手を外してしまっていただろう。
「お主の目が熱を持っている証拠だ。いつもならお主の方が体温が低い」
その通り。ヘビースモーカーな次元は同じく煙草を吸っている俺よりも体温が低い。煙草を吸っていない五右衛門の手を冷たく感じると言うことは、目の持っている熱は相当だ。と、またもや珍しい光景が俺の目の前に広げられた。
「何だー五右ェ門、今日はやけに優しいじゃねえか♪なんかいいことでもあったかー?」
「大事をとっておくことに越したことはない。いいから体を休ませておけ」
五右ェ門におとなしく膝枕されている次元。
こりゃ明日は何が起こる?
俺がじゃれてそんな事したときは本気でマグナムを撃ってきたくせに。
少しばかりにらんでみるが当の次元は帽子を深くかぶって、その上五右ェ門の手までのせているから全く俺の視線に介さない。
「どうしたルパン?」
代わりに返ってきたのは訝しげな五右ェ門の声。
そりゃそーだわな。訳もなくにらまれてるんだから。別に五右衛門に対してじゃないけど。
「いんやー?、むさっくるしい髭面男を膝枕している五右ェ門ちゃんが気の毒だなーと思って」
聞こえてるだろう嫌みにも完全シカト。
あー。そーですか、さいですか。
そっちがそんなつもりならこっちだっててめぇ何ざシカトしてやるよ。

「………………………………」
「………………………………」
………なんていうかおれ。すっげガキみてぇ………。
っていうか何に対してこうなってるんだ?
ルパン三世ともあろうものが訳が分からなくなっちまってるじゃねぇか。





何がなんだか分からないものを抱えてるうちに、車はアジトにと着いていた。







夜の闇が、色濃く広がり初めていた。











話進んでないですねー。 よく分からなくなってるし。
しかもなんて言うか、五右ェ門なにげに出番多い?
ル次じゃなくて五次?(っていうよりむしろ次ごげふっ……)
次はカップリングマジにはいってきますので気をつけてくださいねー。




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