ときに見せてくれる笑顔は、日だまりのようだった。








春光の死骸











「おい!そんなに手荒に…」

弟と同じ年ぐらいの小さな子どもが大人に囲まれて連れられていく。
子どもがふらついているのを構いもせず、むしろ引きずるように彼を追い立てた。
あまりにその様が見るに堪えられず、近寄ろうとすれば行く手は阻まれる。






「フランス様、お下がり下さい」
「けどっ、まだあんな幼いのにいくらなんでも…!」
「その幼い子どもに我が軍がどれだけ殺されたのだとお思いなのです!!」

彼の言葉に、フランスは言葉をつまらせた。
見た目こそ年よりもまた随分と幼く、やせっぽっちの子どもは確かにフランス達の脅威だった。
彼の抵抗は凄まじく、確かにそう簡単に国を明け渡してはくれなかった。


他ならぬあの子どもに彼の弟は殺されていたことを思い出す。





「けどよ……!」



もうあの子どもは上司の部下を、主として迎えることを認めている。
それなのにあの扱いはいくらなんでもないだろう。

あちこち傷だらけで、立っていることすらままならなくて、ろくに手当もされていないのに。
お前達が嫌だというのなら、俺がやる。



対等だけれど部下。
そんな奇妙な関係は今俺に関係ない。

怪我している子どもを放ってなんて置けない。







彼の制止を振り切って、子どもに近づいていく。
周りの兵達が俺の姿に慌てて礼をした。

けれどそれに構うことなく子どもの肩に手を伸ばす。
薄い肩。
まだ血が滲んでいるそれはあまりに痛ましく、抱えようとしたときだった。

パシンッと鋭い音がして、急いで周りが子どもを押さえつける。
少しだけ痺れている指先。
振り払われたのだと気づいたときには、あの緑の瞳が俺を見据えていた。



「イギリス、違う。俺は、お前に何も……」
「……ああ、そうだな。俺は、一つ知った」



音にして自分の耳からそれを聞いて俺は愕然とした。
何を言っているのか。
この子どもがこんなにもボロボロなのは他でもない俺が子どもに攻め入ったからだ。
俺は言葉の選択を間違ったことに気づいたが、子どもにはすでに届いている。



違う。
怪我が気になったのだ。
慌ててそう言い直そうとすれば、子どもがそれは綺麗に微笑んだ。











「そう言ってくる輩を、信じてはいけないということを、お前は教えてくれた」












目の前を緑の風が吹き抜けていった。
森の中。
木々に隠れて泣いていた子ども。
実の兄たちに疎まれ、まだ小さいがゆえに狙われやすく幾度も戦いに巻き込まれていた。
最初は爺さんが収めていた島がどんなところか見てみたかっただけだった。
けど子どもと出会い、彼がどうなっていくが楽しみになった。
よく泣いている割には目の光はいつだって強かった。

最初こそ攻撃を受けた物だったが、何度も会いに行くうちに懐いてくれて。(なんて彼の前で言おう物なら彼はすぐ消えてしまうのだが)
時々だったけど、笑うようになった。
その顔を見てずっと笑っていればいいと思った。
守ってやりたいなんて、柄にもなく思ったんだ。
俺と近いし、助け合えるようになれればいいななんて思っていた。

思っていたんだ。







でも最初に剣を向けたのは俺だった。











ああ、もうあの森で泣いていた子どもはいないのだ。
陽光と同じ匂いさせながら笑う子どもはいないのだ。


俺はその事実を目の当たりにして、血の匂いのする子どもを見送ることしかできなかった。











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若ランスとちびりす。
そのうち蜜月時代も書きたいねぇ…と思いつつ。
この辺(イギリス(イングランド)が色々周りに侵入されたりしている時期)は本当に複雑で頭がフットーしそうです!
一応あの、ギヨーム2世あたりだと思ってもらえれば、いいな…。

最初フランスとは友情を育んでいればいいなとか妄想しています。
で、そのあと上司の都合でせめちゃったりしたもんだからイギリスのひねくれが生まれてしまったとか…。
フランスもまだ若いので色々青かったりしていたりすればいい。
若いとか幼いとか国にしては、なんですが。
周りの兵たちよりはもう年上だったりする感じなのかな、ちびりすだとしても。
あなたはだれ、で何百年もフランス姿が変わってないそうですし…(でもこれは国の勢力も関係してるんですよねぇうーん…)。
指輪のエルフみたく大人になるまではある程度速度同じく成長して、大きくなったらその姿保つのかな…。

短いお話にぐだぐだ文つけてしまって申し訳ないです…。
すぱっと潔い文を書いてみたいものだ…。


07/06/11





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